算数の学びと指導ー市原式

唯物弁証法の視点から算数教育を見直した小学校教師の著作集

10までの加法・減法を どう指導するか(3)

4. 減法について

 減法も加法と同様、基礎減法(①〜③)と複合減法(④〜⑦)に分けた。その分類を簡単に示しておこう。

① 3−1型 

  2−1、3−1、4−1、5−1、6−1、7−1、8−1、9−1

② 4−2型 

  3−2、4−2、4−3、5−2、5−3、5−4

③ 7−2型 

  7−2、8−3、9−4

④ 8−2型 

  8−2、9−2、9−3

⑤ 6−2型 

  6−2、6−3、6−4、6−5、7−3、7−4、7−5、8−4、8−5、9−5

⑥ 7−6型 

  7−6、8−6、8−7、9−6、9−7、9−8

⑦ 10−2型 

  10−1、10−2、10−3、10−4、10−5、10−6、10−7、10−8、

  10−9

但し、②③④はまとめて指導した。これは②③④が、5を越えて減少することのない計算であり、操作的には1段階で求められる計算だからである。

 また⑦を特に取り出して指導したのは、繰り上がり、繰り下がりの計算の基礎とある10に対する補数計算を重視したためである。

 さて、減法も加法も同じように、操作と映像化によって数理を導き定着させた。8−2、6−4に例をとって簡単に説明しておこう。

 8−2は、5+(3−2)で求められることを、ドットの操作で導き、それを映像に訴えて定着させた。

 6−4は、6−1−3で求められることを同じようにドットを操作して導き、映像化して定着させたのである。

 

5. おわりに

 われわれ大人からみれば、至極簡単にみえる、この計算が、子どもたちにとっては大きな重荷であったにちがいない。しかし、10までの加法、減法を5を足場に分析し、具体的操作によって、数理を導き、映像に訴えて、定着させることによって、ここに、鍛錬主義から、解放される道が開かれたといえるのではなかろうか。

(おわり)

 

(1970年代後半から1980年代。掲載雑誌は不明。「指導論説Ⅰ」より)